海面更正気圧の計算
気圧には著しい高度依存性が存在するため、高度が異なる地点で観測された気圧の値を直接地図にプロットしても、天気図にはならず、精度の悪い地形図になってしまいます。このため、高度 ゼロ mまで空気がつながっていると仮定した上で、高度 z mの地点で観測された気圧の値から高度 ゼロ mにおける気圧を推定し、この推定気圧を用いて天気図が作成されます。実際に観測された気圧を現地気圧、高度ゼロ mの値として推定された気圧を海面更正気圧といい、このような操作を気圧の海面更正といいます。
気圧の海面更正を行う際に、高度と気圧の関係を示す測高公式を利用します。各種の測高公式が存在しますが、大気を気温減率6.5K/kmの多方大気と仮定して状態方程式と静力学方程式(静水圧平衡の式)とから求められる次式

     p=p0(1-0.0065z/(t0+273.15))^5.257

でも充分な精度があります。ここで、p0は地上気圧(hPa)、t0は地上気温(℃)、zは標高(m)です。この式を、p0について解くと、

     p0=p(1-0.0065z/(t+0.0065z+273.15))^-5.257

が得られます。ここで、zは観測地点の高度(m)、tは現地気温(℃)、pは現地気圧(hPa)です。気圧の海面更正量は、低高度では、高度100 m当たり約 12 hPa程度の大きさになります。

条件設定

現地高度を指定して下さいm
現地気圧を指定して下さいhPa
現地気温を指定して下さい

計算結果の表示

海面更正気温は
海面更正気圧はhPa
気圧の更正量はhPaです

計算条件を設定しなおして計算実行ボタンを押せば何度でも計算できます。

気圧の更正量は、観測地点の高度が増すほど大きくなります。現地気圧に何十hPaもの値を加えて求められた海面更正気圧に基づいて天気図が作成されますが、その結果、水平方向1000 kmで数hPaの気圧差が解析されて、低気圧とか高気圧の存在が認識されます。従って、もし海面更正に誤差があれば、低気圧、高気圧の配置を誤認識してしまうことになります。このため、通常、高度が800 mを超える高地で観測された気圧データは天気図解析には用いられません。


掲示者 中川清隆@立正大学地球環境科学部環境システム学科