大村 教授特別講演会を開催 6号館201号教室

                     20091023

 

講演者:大村 纂教授

 世界的研究者である地球環境科学部客員教授の大村 纂(あつむ)スイス連邦工科大学教授の特別講演会が、20091023日(金)4時限目、6号201号教室において開催されました。
 講演者の大村教授は,1942年東京生まれで、1965年に東京大学理学部を卒業の後、カナダ・モントリオールのMcGill Universityで修士号、スイス・チューリッヒのスイス連邦工科大学ETHで博士号を取得のうえで同大学に奉職され、1983年からは教授を努められ、2007年名誉教授になられました。大村教授は、地表面熱収支に特別な関心をお持ちの気候学・気象学の世界的権威で、現在も国際水文学会長をお努めです。2001年には日本気象学会賞、2007年にはNorbert Gerbier-Mumm WMO国際賞を受賞されております。

 今回の『20世紀の気候変動と氷河の変化』と題する大村教授の講演は、「気候変動論(中川清隆教授担当)」「温暖化と酸性雨(福岡義隆教授担当)」「自然災害のメカニズム(田村俊和教授担当)」の授業の一環として実施されました。(パート1)気候変動と(パート2)氷河の変化から構成される予定でしたが、前半の(パート1)20世紀の気候変動の部分だけでおおいに盛り上がったため、後半の(パート2)氷河の変化は、次回以降のお楽しみ、ということになってしまいました。講演の骨子は、20世紀の北半球の平均気温は一方的に上昇を続けたのではなく、1940年代〜1960年代の約30年間は減少傾向にあり、1970年代以降再度上昇に転じてホッケースティック変化の様相を呈しており、その原因は、温室効果による最低気温の上昇と、日射の変動による最高気温の変動が競合したものである、というものでした。講演会場には,これらの授業聴講学生の他に、本学教職員等,300人近くの聴衆が集まり,熱心に耳を傾け、講演終了後には活発な質疑応答が行われました。大村教授の講演スライドはここに置いてありますので、自由にご覧になってください(大村先生から許可をいただいております)。講演会では省略された、(パート2)氷河の変化に関するスライドもあります。

 大村先生は、特別講演会に引き続いて、5時限目には、ステラ2階の喫茶店において、「気圏環境学演習T」「気圏環境学演習U」を履修している大学院地球環境科学研究科の院生3人と懇談会に臨まれました。大学院で気候学・気象学領域の修士研究に励む院生たちは、世界的権威から直接気候学・気象学研究の真髄に触れる助言や激励を得、大変有意義なひと時を過ごしました。