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学科主任からのメッセージ

フィールドで学ぼう

地球環境科学部環境システム学科が誕生して17年目を迎えました。本学科における特徴はフィールドワークを礎においた教育,研究です。私事で恐縮ですが,私の学生時代は先輩や教員の方々から様々なフィールドに引っ張り出され,土日,夏季休暇などはほとんど家に帰れない毎日を送っていました。日本中を旅して,普段は人が立ち入ることのできないフィールドで調査をしたり,二度と経験できないような火山噴火や地震被害を目の当たりにしたり,思いがけない方との出会いや,旧友との再会など,数限りない思い出があります。その中には24時間調査や大雨の中での調査などつらい時もありましたが,日本各地で手伝わせていただいた,水文,気象,地形,地質の調査経験は,いまでも私が研究する際の知恵の源泉となっています。

机上で教わったものは,それだけではただの知識にしかすぎません。現地で経験してこそ,知識が知恵,叡智につながっていくのです。高校生,在学生,卒業生の皆さんには,ぜひこの学科で学んだフィールドワークでの経験を社会で大いに生かしていってほしいと思います。またフィールドで学んだことは,座学での理解にも役立ちます。私はまずフィールドワークで学び,その後に座学をするという変則的な勉強をしましたが,座学では全く苦労することはありませんでした。現地を見ているので,先生方の話が手に取るようにわかるのです。あっあの話だな,次はあの話を持ってくるぞ,などと推測しながら受講し,その通りの話が進むのを聞いているのはとても楽しい経験でした。

その一方でフィールドワークは若干危険が伴うことがあります。もちろん十分な準備を重ね,現地の情報を把握しながらフィールドワークを実施しますが,やはり一番怖いのは油断と心の緩みです。私は若い頃,かなり無茶をしていたので,凍った湖の氷が割れて危うく遭難しかけたり,晩秋の夜の山中で道に迷ったりと命に係わる危険な場面に何回か遭遇しました。幸い無事に生還しましたが,後で考えれば油断そのものであったと思います。もちろん学生のフィールドワークで危険な場所に行くことはありませんが,油断や悪ふざけは禁物です。ルールを守ってこそ,楽しいフィールドワークが待っています。私の講義の最終回では,毎回,「若い時は無理してもいいが,無茶をするな」と話します。多少の無理は誰にでもあるもの。少し休めば回復しますが,自分の能力を超えた無茶をすると取り返しのつかない状況になることもあるのです。

環境システム学科の学生や高校生の皆さんには,先輩や同級生,教員のフィールドワークを大いに手伝って,楽しく勉強し,楽しく卒業してもらいたいと考えています。きっと,生涯の宝物となるはずです。

環境システム学科
主任 河野 忠