∂ψ/∂t=-c・∇ψ
の形の偏微分方程式を移流方程式と呼ぶ。ここで、ψ;物理量、t;時間(s)、c;流速ないしは波の位相速度(ms-1)である。物理量の勾配が上流から流入することによって物理量の局所的時間変化が起こることを意味している。
x方向1次元の場合、移流方程式は
∂ψ/∂t=-c∂ψ/∂x
と表される。解をψ=ψ(x,t)=X(x)ψ(t)と仮定して、上式を変数分離すると、
X(x)∂ψ(t)/∂t=-cψ(t)∂X(x)/∂x
両辺をcX(x)ψ(t)で除すと
{1/cψ(t)}∂ψ(t)/∂t=-{1/X(x)}∂X(x)/∂x
両辺の値は一定値になり、分離定数separation
constantと呼ばれる。分離定数の与え方によって、異なる一般解が得られる。
分離定数を-1/λと仮定すると、左辺から
〔1/{cψ(t)}〕∂ψ(t)/∂t=-1/λ
両辺にc∂tを掛けると
∂ψ(t)/ψ(t)=-(c/λ)∂t
左辺は対数関数の微分なので
∂ln{ψ(t)}=-(c/λ)∂t
時間tに関して積分すると、基本解
ψ(t)=Aexp{(-(c/λ)t}
が得られる。変数分離した移流方程式の右辺から
{1/X(x)}∂X(x)/∂x=1/λ
両辺にX(x)を掛けると、
∂X(x)/∂x=(1/λ)X(x)
となる。やはり左辺は対数関数の微分なので
∂ln{X(x)}=(1/λ)∂x
距離xに関して積分すると、基本解
X(x)=Bexp{(1/λ)x}
が得られる。従って、移流方程式の一般解ψ=ψ(x,t)は、
ψ=X(x)ψ(t)=ABexp{(1/λ)x}exp{-(c/λ)t}+ψ
となる。ABをAと置き直すと、移流方程式の一般解ψ=ψ(x,t)は、
ψ=X(x)ψ(t)=Aexp{(1/λ)(x-ct)}+ψ
となる。
分離定数を1/λと仮定すると、左辺から
〔1/{cψ(t)}〕∂ψ(t)/∂t=1/λ
両辺にc∂tを掛けると
∂ψ(t)/ψ(t)=(c/λ)∂t
左辺は対数関数の微分なので
∂ln{ψ(t)}=(c/λ)∂t
時間tに関して積分すると、基本解
ψ(t)=Aexp{((c/λ)t}
が得られる。変数分離した移流方程式の右辺から
{1/X(x)}∂X(x)/∂x=-1/λ
両辺にX(x)を掛けると、
∂X(x)/∂x=-(1/λ)X(x)
となる。やはり左辺は対数関数の微分なので
∂ln{X(x)}=-(1/λ)∂x
距離xに関して積分すると、基本解
X(x)=Bexp{-(1/λ)x}
が得られる。従って、移流方程式の一般解ψ=ψ(x,t)は、
ψ=X(x)ψ(t)=ABexp{-(1/λ)x}exp{(c/λ)t}+ψ
となる。ABをAと置き直すと、移流方程式の一般解ψ=ψ(x,t)は、
ψ=X(x)ψ(t)=Aexp{-(1/λ)(x-ct)}+ψ
となる。
分離定数をiω/cと仮定すると、左辺から
〔1/{cψ(t)}〕∂ψ(t)/∂t=iω/c
両辺にcを掛けると
∂ψ(t)/ψ(t)=(iω)∂t
左辺は対数関数の微分なので
∂ln{ψ(t)}=(iω)∂t
時間tに関して積分すると、基本解は
ψ(t)=Aexp{(iω)t}
が得られる。変数分離した移流方程式の右辺から
{1/X(x)}∂X(x)/∂x=-iω/c
両辺にX(x)を掛けた後に右辺を左辺に移項すると、
∂X(x)/∂x+(iω/c)X(x)=0
となる。特性方程式
D+(iω/c)=0
の解は、
D=-iω/c
なので、基本解は
X(x)=Bexp{-(iω/c)x}
従って、移流方程式の一般解ψ=ψ(x,t)は、
ψ=X(x)ψ(t)=ABexp{-(iω/c)x}exp{(iω)t}+ψ
となる。ABをBと置き直すと、移流方程式の一般解ψ=ψ(x,t)は、
ψ=X(x)ψ(t)=Aexp{-(iω/c)(x-ct)}+ψ
となる。