中川用語集
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通日 (current day)
毎年の元旦からの通しの日数。DOY(day of the year)と記載する文献もある。また、ユリウス日と記載する文献もあるが、この用法は好ましくないとされている。
通報観測 (synoptic observation)
気象庁が行う地上観測のうち、世界気象機関(WMO)による気象観測・通報に関する統一的な「WMO技術規則」に準拠して、国境を越えて地球を巡る気象現象(擾乱)の実況の常時監視天気予報を主目的とし、電報「FM12 地上実況気象通報式(SYNOP)」をもって(国内、国際規模で)通報される観測。観測項目は、気圧、気温、湿度、風、降水、積雪、蒸発、雲、視程、天気、日照、その他の気象現象とされており、通報時刻は、わが国の多くの官署では、3時・6時・9時・12時・15時・18時・21時の1日7回である。
月 (moon)
地球の唯一の衛星。月は半径1738kmの地球の衛星であり、地球の回りを公転している。地球と月の間の平均距離は38万4400kmである。月が地球の回りを正確に360°回転するのに要する時間は、27.3218日である(この期間を交点月という)。月の公転軌道の長さは38万4400km×2×円周率=241.5256万kmであるので、この距離を27.3218日×24時間×60分×60秒で割れば、月の公転の際の速度は1.03km/秒と見積もることができる。
太陽は365.224日で地球の回りを1回転し、月は27.3218日で地球の回りを東の方向に1回転するように見えるので、両者の平均角速度は、各々、0.9856°/日と13.1763°/日となり、12.1907°/日の差がある。従って、一度太陽と月が同じ方向に見えた時から360°/12.1907°=29.53059日経過すると又太陽と月が同じ方向に見えることになる(この期間を朔望月、または会合月という)。太陽と月が同じ方向に見える時の月齢を新月、反対側に見える時(14.7652日目)を満月、新月と満月の中間(6.8826日目)を上弦の月、満月と次ぎの新月の中間(20.6480日目)を下弦の月と呼ぶ。下弦の月は、地球の移動方向の前方38万4400kmにあり、29.79km/秒の速度で接近する地球は、下弦の月のある場所に3.6時間後に到達する。勿論その時月は更に38万4400km前方に移動しているが..。
恒星日は23時間56分04秒であり、太陽日は24時間00分00秒、太陰日は24時間50分28秒であるから、恒星は23時間56分04秒ごとに、太陽は24時間ごとに、月は24時間50分28秒ごとに南中する。このため、太陽は毎日同じ時刻に南中し、恒星は南中時刻が毎日4分早くなり、月は南中時刻が毎日50分遅くなる。
つむじ (whirlwind)
細い鉛直の管状の空気の渦巻をつむじ風と呼ぶ。旋風とも呼ぶ。運動場等でよく発生し、塵や埃を空中に舞い上げる。たつ巻の場合には必ず上空に親雲があり、その雲底から漏斗雲が下がっているのが一般的であるが、つむじ風にはそのような構造はない。
冷たい雨 (cold rain)
氷晶を含む冷たい雲(氷晶雲)からの降水を冷たい雨と呼ぶ。氷晶雨と呼ぶこともある。
気象学が発達した国々が存在する中緯度地方における降水はほぼ例外なく雲頂部に氷晶を持つ積乱雲や乱層雲からの降水であり、雲頂部において氷晶の形成に至らない限り降水現象が発現することはないと信じられていた。ところが、中緯度地方より激しい降水のある熱帯地方での調査が進むと、雲頂部に氷晶が存在しないどころか温度が氷点下にもなっていない雲から激しい降水が発生しており、熱帯地方における降水は中緯度地方における降水とは異なるメカニズムを有することが明らかになり、熱帯地方における降水を暖かい雨と呼び、これに対して、中緯度地方における降水を冷たい雨と呼ぶようになった。
雲はなんらかの上昇気流の中で発生する。雲底部分の温度は0℃以上の高温である場合が多く、雲粒は水滴からなっている。雲層上部でさらに上昇気流があると、さらに低温となり新たな凝結が発生し、雲層は厚くなる。雲層が凍結高度以上に発達すると、雲粒の中に過冷却水が含まれるようになる。過冷却水を含む層には少数の氷晶が常に存在する。氷晶が出現するためには凍結をさせる性質を持った凝結核の存在が必要である。-10℃より高温の部分にはこのような背移出を持った凝結核の数は極めて少ないが、温度が下がるにつれて凍結核の数は増加する。約-33℃になると凝結核が存在しなくても水は自発的に凍結することができるようになり、-40℃になると完全に純粋な水でも直ちに凍結する。雲頂部が氷晶を含むほど低温になると、氷の表面の飽和水蒸気圧が水の表面の飽和水蒸気圧より小さいため、過冷却水から成る水滴と氷晶が共存する雲層部分において、飽和水蒸気圧が大きくて未飽和状態にある水滴から蒸発が起こり飽和水蒸気圧が小さくて飽和状態にある氷滴に水蒸気が昇華するので、水滴から成る雲粒は消滅し氷晶は成長を続けて大きくなる。成長して大きくなり終端速度が大きくなった氷晶は雲層内を落下しながら、終端速度が小さい水滴から成る雲粒を衝突による併合により成長する。雲層内を成長しながら落下するにつれて温度は徐々に増加し、融解層以下まで降下すると氷晶の融解が始まる。氷晶が完全に融解して水滴として地上に落下する場合を雨と呼び、融解せずに氷晶のまま地上に落下する場合を雪と呼ぶ。

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